花粉症とは植物の花粉(アレルゲン)によるアレルギーのことで、花粉が目や鼻の粘膜に接触することでアレルギー症状があらわれます。
毎年、樹木や草花の花粉が舞う時期に繰り返して起ります。
原因物質としては、日本ではスギが多く、花粉症の約70%がスギ花粉症と言われていますが、スギ以外にも花粉症を起こしやすい植物の花粉が一年中飛散しています。
- ●スギ ・・・ 1~5月
- ●ヒノキ ・・・ 3月~5月
- ●スズメテッポウ、カモガヤ、イネなど ・・・ 主に4月~9月
- ●ブタクサ、ヨモギ ・・・ 8月~10月
- アレルギー性結膜疾患は国民病?
- 2017年の日本眼科アレルギー研究会有病率調査によると、アレルギー性結膜疾患の有病率は48.7%であり、約2人に1人はなんらかのアレルギー性結膜疾患に罹患しています。1993年時の調査では15~20%であったとの報告もあり近年有病率は増加しています。
特にスギ・ヒノキによる季節性アレルギー性結膜炎の有病率は37.4%であり最も高くなっており、首都圏の有病率はさらに高くなります。
出典:アレルギー性結膜疾患ガイドライン(第3版)
Miyazaki D,Fukagawa K,Okamoto S,Fukushima A,Uchio N, et al:Epidemiological aspects of allergic conjunctivitis Allergol Int:487-495 2020
- 初期療法とは?
- 花粉飛散予測日の約2週間前、または症状が少しでも現れた時点で抗アレルギー点眼薬の投与を開始する治療法です。
- 初期療法の効果
- 症状の発症時期を遅らせる事や、花粉飛散ピーク時の症状の軽減が期待できます。
出典:アレルギー性結膜炎疾患診療ガイドライン(第3版)
- なぜ初期療法が症状の発症時期を遅らせる事や、花粉飛散ピーク時の症状の軽減が期待できるのか?
- 最近の研究では、ヒスタミンH1受容体拮抗薬はニュートラルアンタゴニストとインバースアゴニストに分類されます。インバースアゴニストは、H1受容体の数を減少させることでアレルギーの感受性を低下させます。ゆえに症状発症の遅延や軽減につながります。
出典:深川和己 季節性アレルギー性結膜炎に対するエピナスチン塩酸塩点眼薬による初期療法の効果
参天製薬株式会社「初期療法~発症遅延・症状抑制のための花粉症の治療戦略~」
- 初期療法実施の流れ
- 初期療法が終わり本格飛散時期はどうする?
- 初期療法を実施し本格飛散がスタートしても、より効果を安定させるためにも点眼治療は続けてください。
出典:参天製薬株式会社患者様向け小冊子「目のスギ花粉症には対策があるってホント?」
- 目の症状・・・かゆみ、異物感、充血、涙眼
- アレルゲンが目の粘膜に付着すると、目の周りがかゆくなります。
かゆみのため擦ったり、掻いたりするとさらに悪化し、結膜や角膜を傷つけ、目がゴロゴロしたり(異物感)、かすんだり、まぶしく感じたり、痛みを伴ない涙がでます。この段階になると充血して目が真っ赤になることもあります。
さらに重症になると、結膜に浮腫を生じ、目が見えないほどにまぶたがはれてしまいます。
- 鼻の症状・・・くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 鼻の症状としてはくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの風邪の諸症状に似ているので最初は風邪と間違える方も多いようです。
- 皮膚のかゆみ、のどのかゆみ、頭痛、全身倦怠感、睡眠障害
- その他、アレルギー反応としては皮膚のかゆみ、のどや気管支のかゆみの他、頭痛や全身倦怠感(だるさ)などがあらわれます。
またそれらの症状のため、寝不足による睡眠障害をも引き起こします。
患者さまの中には、肉体的にも精神的にも意欲が低下して生活の質(QOL= Quality of Life)が大きく損なわれてしまうことがあります。
抗アレルギー点眼薬
アレルギー反応は、その原因である様々な抗原がIgE抗体を介してマスト細胞からヒスタミンなどが発生することが原因で起ります。
抗アレルギー剤はこのマスト細胞が原因物質を出さないように抑制するための薬です。
そのため、アレルギー症状が始まる前から点眼するとより効果的です。
抗ヒスタミン点眼薬
出てしまったかゆみの原因物質(ヒスタミン)を抑制し、症状を緩和するための薬です。
シーズンに突入し、抗アレルギー点眼薬で十分に抑えられない場合は、抗ヒスタミン点眼薬を適宜使用していきます。
内服薬
鼻の症状には抗アレルギー薬の内服薬も効果があります。症状が出る前に使うと、予防効果も高まります。
花粉が多く飛散している日には外出を避ける、ゴーグルやマスクで防ぐといった対処も重要です。
また、シーズン中は酒量を控えるなどの体調管理にも気を付けましょう。
- ●花粉の飛散が多いときはできるだけ外出を控える
- ●花粉が室内に入ってこないように窓や戸はできるだけ閉める
- ●帰宅時は衣服をよく払ってから家に入る
- ●部屋の掃除をこまめに行い空気清浄機を活用する
- ●バランスの良い食事を心がけ睡眠を十分にとる
- ●タバコを控える